痛みの新しい評価法

2020年02月24日

臨床では痛みを数字によって評価することが多い。例えばNRS (Numerical Rating Scales)だと、患者自身に10段階の数字で痛みを評価してもらう。だが筆者は、この方法では患者の「痛み体験」を十分把握できない、と指摘する。僕もそう思う。患者の言う数字を聞いても、患者は今痛みをどんな風に感じているのか把握しにくい。

また、「10段階で痛みを評価するならいくつですか?」と質問する時、何をもって評価していいか悩む患者に、ある種の「同情」を感じることがある。自分も患者側として同じ質問を受けたことがあるが、痛みを数字に表すのは正直骨の折れる作業だったからだ。

そこで筆者は2015年に提唱されたCAPA (Clinically Aligned Pain Assessment) という評価法をピックアップした。痛みを5つの項目に分けて評価する方法だ。具体的には以下のようになる。

快適さ(耐えられない/不快だが耐えられる/快適に過ごせる/無視できるほどの痛み)
痛みの変化(悪化している/変わらない/良くなっている)
痛みの自己管理(まったく管理できない/やや管理できる/良く管理できる)
痛みによる行動制限(全く何もできない/必要なことがほとんどできない/ほとんどのことはできる/必要なことは何でもできる)
睡眠(ほとんど眠れない/あまり眠れない/普通に眠れる)

項目は多いが、具体的な質問だから数字よりは答えやすそうだ。しばらくはこの評価法を試してみようと思う。おそらく患者が今痛みをどんな風に感じているのか把握しやすくなると思う。実臨床に耐えるには簡便さも求められるが、果たしてどうだろうか。患者さんがどのくらいスムーズに答えらえるかも興味がある。

ただ、CAPAは統計処理しにくいかもしれないかもしれないけれど。